第4回 桜の手紙コンテスト結果発表【一般部門】
昨年8月から11月にかけて募集した「第3回 桜の手紙コンテスト【一般部門】」の授賞作品を当ページにて発表いたします。
※発表時の個人情報は応募当時のものであり、氏名は敬称略となります
※個人情報については応募時の注意事項を了承したものとみなして掲載します
※受賞のコメントは随時掲載いたします。コメントは抜粋する場合があります。
最 優 秀 賞
サクラ、サクラ…。失語症を発症した父が病室で桜の画像を見て急に口ずさんだ。家族中が笑顔になった。満足そうに何回も歌う父。桜を見ると今でもあの光景を思い出す。
静岡県・山下 浩美(64)
《コメント》
父が失語症になったのは、6年前の大きな手術の直後でした。手術は成功したけれど、言葉が出て来ない父に目の前が真っ暗になった気がしました。そんな時、さくらの画像を見て歌い出した父。さくらの力ってすごい。その後、いろいろな言葉が出てくるようになりました。
昨年の7月、父は87歳で天国に旅立ちました。生前さくら並木道をよく母と散歩した父。今年のさくら見物は、母一人だったけど、父を身近に感じたそうです。さくらは、私たちの心の中で咲き続けている花なのですね。
さくらテラスに受賞作品が展示してある(※)ことを知って、5月2日に静岡からさくら市を訪れてみました。氏家駅に降りると、とても優しい気持ちになりました。さくら市のさくらは咲いていませんでしたが、さくらテラスの方々、うどん屋さんの方、タクシーの運転手さん、みんなさくら市が大好きだという思いが伝わってきました。とっても素敵な市でした。ますますのさくら市のご発展をお祈り申し上げます。ありがとうございました。
※展示は2024年4月27日(土)~5月6日(月)に行われました。
優 秀 賞
あなたから初めて自撮りを誘われて満開の桜を背景に夫婦でマスクのまま撮りましたね。まさか最後のツーショット写真になるなんて。あなたの妻になれてしあわせでした。
石川県・豊 恵子(58)
さくら市氏家観光協会長賞
第一志望の最終面接後に届いた通知、『桜散る』。意気消沈する私に父は言った。「この辺の桜はもうすぐだ。君も縁があった場所で咲けばいい。」私の心は軽くなった。
埼玉県・伊藤 みか (42)
さくら市 氏家郵便局長賞
おんぶされ、手を繋がれて毎年歩いた桜の道。今年は車から降りず、窓から見るだけでいいと言った。お母さん、もっと頼ってほしい。車イスでこれからも出かけようよ。
埼玉県・藤本 直美(59)
あの日、意地張って一人で山桜を見に行った事を後悔してる。誰も居ない寺の桜は夢のように美しかった。本当は君と見たかった。あれからずっと一人ぼっちで花見です。
岡山県・黒瀬 三保子(56)
《コメント》
このような賞をいただき、とても光栄です。春に一人桜を見上げてはザワザワしていた想いを文章にできて、それはそれでスッキリしたように思います。来年からは桜の記憶が、副賞でいただいた美味しい鮎の甘露煮に上書きされそうです。本当にありがとうございました。
今は苔むした切り株だけが残る庭の桜。終戦記念日、百の天寿を全うした祖母の戦争も終わった。後を追うかのように朽ちた桜。忘れないよ、ずっと。お祖母ちゃんも桜も。
東京都・永井 清子(56)
《コメント》
長く保護樹だった庭の桜が祖母を追うように朽ちたことに不思議な縁を感じていました。生前の祖母は厳格な人で、実は苦手でした。その反面、戦中戦後の家族を守って逞しく生き抜いた祖母に畏怖の念も抱いていました。そうした思いを直接伝えることができないまま別れてしまった祖母に、今回の受賞が少しでも供養になってくれればと願ってやみません。
花作(かさく)
あなたが植えた桜。あなたと並んで見上げた桜。これからは別々の場所から見ることになりますね。私は下から。あなたは雲の上から。桜と私を見守ってくださいね。 兵庫県・大恵 やすよ(40)
迎えた独りぼっちの卒業式、帰り道、花びらが薄茶色に変色して敷石にへばりつく。うっすらと惨めさが泡立った。それでも、18歳の私に言いたい、よく踏ん張ったね、と。 神奈川県・青木 まさみ(43)
《コメント》
桜というと美しくきらびやかなイメージがありますが、色褪せるその瞬間もまた真実であるかと。いろいろな事情から卒業式を欠席。後日独りで卒業証書を取りに行った時の心の有り様を、散り敷かれた桜に託しました。
「よく見てごらん。一枚一枚は薄いけど、これがたくさん集まってピンクになるんだよ」一年生の春、担任の先生が教えてくれた桜の話。ずっとずっと覚えていたい。 東京都・井上 秀子(55)
《コメント》
私が小学一年生の時は、今からもう49年も前になります。今も覚えていることに自分でも驚きました。多分、このエピソードを双子の妹(クラスは分かれた)と両親に桜の季節に思い出してよく話題にしていたからだと思います。先生は年配の方で、穏やかな、とてもやさしい女の先生でした。大人になり、同窓会の頃にはもういらっしゃいませんでした。なので私は、桜といえば薄いピンクのソメイヨシノが一番好きです。
風に飛ばされ舞う桜の花びらを捕まえようと走り回る孫の姿に、自分も幼き時には桜の花びらを追いかけていたことを思い出した。今夢中になれることは何なのだろうか。 栃木県・野澤 秀行(62)
サクランボが実るのは、花が散ってから。だから、サクラチルはサクラサクよりも、実りに近い所にある。挫折は、きっと君を大きく実らせる糧となる。そう信じているよ。 岡山県・岩中 幹夫(47)
《コメント》
第4回桜の手紙コンテストの花作に選んでいただき誠にありがとうございます。
童話『ウサギとカメ』で最強のキャラは、敗北を知った後のウサギ。冬の後は、桜を咲かせるだけです。
20歳の春、2人で歩いた桜並木を覚えていますか。「10年後もこうして歩こう」と話しまだ4年だけど気づけば私達随分大人になったね。次の春はこの子と3人で歩こうね。 広島県・鈴木 未海(23)
手術前日、息子から美しい桜の動画が届いた。「かあさん、桜大好きだろ。今満開だよ。散る前に退院できるといいね」ありがとう。痛みも不安も吹っ飛んだよ。 千葉県・小野寺 直美(70)
《コメント》
手術前の不安が桜の美しい写真によって軽減したことを書いてみました。桜にはいろいろ思い出があるので、また応募したいと思っています。さくら市の桜めぐりマップを見て、ぜひそちらにも行ってみたいと思いました。
おばあちゃん、あなたの形見の料理の本の、たけのこご飯のページから桜の押し花が出てきたよ。今この季節を一緒に過ごしているみたいで、目の前がゆらゆらしちゃった。 東京都・髙鳥 陽子(28)
もうすぐ桜が咲くというのに急いで逝ってしまうなんて。あれから三十年。パパそっくりになった子がパパになりましたよ。あなたは三十歳の若いおじいちゃんです。 大阪府・松井 詔子(70)
《コメント》
3月29日、ちょうど大阪城の桜が開花。タイミングよく大きな箱が届き、嬉しくて写真をとりました。ありがとうございました。七十一歳の婆さんはよく歩き、よく食べ、よく書きます。ちゃんとしたノートではなく、新聞広告のうらを使い、お絵かき、短歌等とにかくペンと紙が好きなのです。公募ガイドで送りました。この作品が選ばれてびっくりしています。早く亡くなった弟がおじいちゃんになったことを伝えたくて……
寿退社の君が送別会で隣に座った。「夫婦みたい!」あれは私の失恋に添えられた、散る桜の花びらのような甘く切ない、彼女からの最後の贈り物だったのかもしれない。 宮城県・酒井 義宏(65)
《コメント》
片思いだった同期入社の彼女の退社。その同期の送別会での出来事だった。気持ちを伝えられないままその日を迎えてしまった私への思いがけない彼女の一言。もしかすると彼女も同じ気持ちだったかもしれないと思わせるような一言に、とりかえしのつかない後悔の念が一段と募り、切なさが胸を締め付けた。
3月、満開の桜日和。曲がった背中をピンと伸ばし歩く無口なお父さんと照れ屋の私。桜の絨毯はあの時のバージンロードを思い出すよ。空から見える桜はどうですか? 兵庫県・山崎 宏美(45)
あの日母さんの案内で行った小さな神社。境内には数本の桜。色んなことを忘れていくのに桜は覚えていたね。母さんが居なくなって、あそこに行く道が分からないよ。 兵庫県・柴田 紀子(70)
《コメント》
母に認知症が現れ、度々帰省していた。そんな暖かな春の日、散歩に出かけた。珍しく母が先に行く。歩いた先に小さな神社があった。散歩を日課にしていた頃見つけたらしい。数本の桜が満開で、母が桜とその場所を覚えていたことが嬉しかった。でも、母について行った私は、母の亡き後その小さな神社を見つけられず、春の日の幻のような思い出になっている。
「花筏」という季語よりも、「ピンクの絵具を溶いたみたい」という、君の感性の方が、パパは好きです。手の平にピンクの絵具を塗って、白い紙にたくさん桜咲かせたね。 埼玉県・植田 郁男(54)
急な辞令を受け、北に向かった。トンネルを越えると、突然、ピンクの世界へ。新しい職場まで満開の桜がずっと続く。よし、ここで私は、私の花を咲かせるぞと誓った。 広島県・古山 礼子(63)
《コメント》
「花作」受賞のお知らせとプレゼントに感謝! 「桜の手紙コンテスト」のみなさんの作品を読ませていただき、「あるある」感でいっぱいになりました。
桜の時期は、転勤の時期と重なり、新任地への不安や期待でおしつぶされそうになる心がよみがえってきます。でも、ピンクの桜が目にとびこんでくると、やさしく包まれるような思いで、心の中も桜色になり、やさしい表情になって少しゆるむ自分を感じます。
今年の開花予想を気にしているときに、おいいしいさくらうどん、クッキーに心もはずみました。ありがとうございました。
エプロンしたまま夜桜見に行ったよね。毎日忙しくて、化粧する時間もなくて「綺麗なお母さん」を見た事なかったけど、ライトアップされたお母さん、とても綺麗だった。 秋田県・梅川 英子(43)
《コメント》
この度のコンテストで、「花作」に選ばれたこと、とても嬉しく思います。
普段、草花をじっくり眺めることはありません。が、このコンテストを知り、桜にまつわる記憶を思い出す過程で、亡き母のことが頭に浮かびました。普段、思い出すことなかったのに、です。母、桜、庭の草木。今は、いろんなことに思いを馳せるようになりました。
公園のベンチに座って空を見上げる。少し散った桜がまるで月を見せてくれているようで、隣にいるあなたに「月がきれい」と言うか「桜がきれい」というか迷ってしまう。 神奈川県・奥村 栞(28)
《コメント》
この度は素敵なコンテストの企画、そしてわたくしの手紙を読んでいただきありがとうございました。桜舞う季節に幸せを運んでいただけたようで、嬉しかったです。知らぬうちに桜が咲いてないかと頭上を見上げるのがこの季節です。そして白くて小さなそれを見つけると、何故か肩の力が抜ける気がします。今回素敵な賞を頂いたおかげで、一等この季節が好きになりそうです。ありがとうございました。
私の名前は五月である。でも三月生まれ。早産であった。名付け親は祖父。桜が良かったのに。ばあちゃんが言った。あの人の初恋の人の名はさくら。誰に遠慮したのかね。 宮崎県・荒尾 洋一(72)
《コメント》
日本人にとって「さくら」は心のシンボルです。その桜を冠するさくら市でさくらの手紙の公募。これは応募するしかない。さくらのことを考えるのは日本人の心の原点回帰です。さくらは日本人にとってどんな時代にも心の原風景です。このさくらの長く続くことを祈ります。
桜の盆栽をくれるって言ったの覚えてる? 大学生のカップルのプレゼントで盆栽って変なの。でも、そんな変なところが好きだった。きっと、私の他には見つからないよ。 長野県・小澤 茂々花(22)
皆で楽しい思い出を、いっぱい作ろうと誓い、共に暮した仮設住宅。震災から二年目、枯れたと思った桜が咲いた。よし、花見さすっぺ! 忘れない。青に染みこむ桜の色を。 福岡県・感王寺 美智子(63)
《コメント》
九州の満開の桜を見ながら、膨らみ始めたであろう遠き東北の桜を思っています。気仙沼の仮設住宅をでた後、熊本地震後の阿蘇、そして九州北部豪雨の後の朝倉と被災地を移り住んできました。そこにはいつも桜の木があり、どんなに傷ついたふるさとにも春が来ることを教えてくれました。気仙沼の仮設住宅をでる時、跡地にみんなで一本の桜の木を植えました。今年もきっとたくましく美しく咲くことでしょう。きっと、きっと。
「水に浮かぶ桜を花筏って言うんやって。三途の川もあのくらい派手な筏で渡りたいもんやなぁ!」そんなブラックジョークで周りを笑顔にする爺ちゃんが大好きだったよ。 徳島県・工藤 隆平(28)
父親になったんだって。男になったんだなぁ。多摩川沿いの満開の桜、精一杯戯けたお前が古ぼけた写真の中で微笑む。ごめんな、父親になれなかった。 福島県・清野 則夫(63)
病室に、桜の小枝と缶ビールを並べてごめんなさい。空へ旅立とうとする母に最後の花見をさせてあげたかったのです。看護師さん、優しい見て見ぬふりを、ありがとう。 愛知県・岡 桃子(32)
桜の花びら舞う季節。偶然見つけた君の葬儀看板。初恋の君は新型コロナで逝ってしまったのか…。何処かで出会うことがあるかもしれぬと思い45年。初恋は永遠になった。 愛知県・仲川 浩(62)
あなたの気を引きたくて、あれこれ試したの。赤点、校則違反、遅刻に忘れ物。でも、叶わない。だから先生、せめて私のこと忘れないで、すっごい問題児だったもん! 福島県・小池 希美(38)
《コメント》
この度は思いがけない賞をいただきありがとうございました。卒業の時期になると、学生時代の甘酸っぱい記憶が蘇ります。あのはちゃめちゃなおてんば娘もすっかり丸くなりました。時の流れとは、不思議なものですね。恋の他にも、学生生活、様々な経験をした素敵な思い出です。
桜の花びらが金魚鉢にはらりと落ちた。貴方が飼っていたでっかい奴がパクリと食べてポロッと吹いた。ちっこい奴がパクパクしてたらでかい奴がまたパクリ。会いたいな。 東京都・不破 敏博(76)
《コメント》
桜桃の熱き香りに 誘われて いつか 訪れたとき 妻の手を取り
三十歳半ばで親友になったね。男同士で桜咲く城崎で湯巡りを楽しんだな。今年の桜散る頃、奥さんの手紙で知らされた自死。何があった、何故相談してくれなかったんだ。 神奈川県・久保 隆(73)
《コメント》
桜に関する思い出はたくさんあります。次回も投稿させてください。鮎の甘露煮美味しかったです。今年は3回も花見に行きました。
山桜を眺めながら二人でおにぎりを頬張ったね。小さな畑で野菜を作り、汗をかいたあとのおにぎりの味、山桜をみると想い出すよ。あなたと暮らせて本当に幸せだったよ。 栃木県・杉田 昌子(78)
《コメント》
桜が大好きで、優しく頼りがいのあった夫。コロナ禍で面会もできず、駆け付けた時には意識がありませんでした。「ありがとう、わたしは世界一幸せだったよ」と言えなかったことが、とても哀しく辛くずっと胸につかえておりました。今回「花作」に選んでいただけたことで、わたしの気持ちが亡き夫へ届いたように思います。ありがとうございました。この素晴らしいコンテストが、長く続くことを願っております。
木の役に決まった私達に「この木が桜なら春には主役だね」と先生が言ったとき、王様役で緊張している子に心からエールをおくることができた。 京都府・岸野 由夏里(47)
食卓に並ぶ桜えびの炊き込みご飯が私に春を知らせに来る。一人暮らしを始めてからその知らせが当たり前じゃないことを知った。春は感謝の季節。母の日前のありがとう。 福岡県・佐水 郁斗(23)
「桜が満開きれいだね。今度お花見に行きたいね。」とおばあちゃん言ったけど、今、お花見の帰りだからね。でも、いいよ。何度でも大好きなお花見に行こうね。 栃木県・田上 孝子(69)
《コメント》
私の母親は認知症をわずらい、数年になります。外出の機会も少なくなってしまった母に少しでも心豊かに過ごしてほしいと思い、毎年お花見に出かけています。桜の花を見て、子どもの様にはしゃぐ母ですが、記憶には残りません。それでも桜の花を見たときの感動はきっと心のどこかにわずかでも残るだろうと思っています。2年前にこのコンテストを知り、なかなか言えない自分の思いを言葉にしてみました。
「あと少し」ジャンプしながら桜にタッチを試みた孫娘。今では手が届くまでに成長。桜の木の下でのお花見会、覚えているかな。桜と爺はいつも君の応援団。ガンバレ! 新潟県・逸見 修(75)
《コメント》
毎年美しい花を咲かせる我が家の桜には、たくさんの思い出があります。中でも孫は桜が大好きで、心に残っていることがあることから応募しました。
幼い頃の孫はジャンプして桜にタッチしようとしましたが届かず。その孫も、今は4年生。手を伸ばせば届くまでに成長しました。これからも桜の木は孫の成長を見守ってくれるものと思っています。
桜咲く花見の弥生月、待ちに待ったお花見を今年も楽しく盛り上がりましたね。来年も一人でも欠席者が出ないよう健康に留意して「同じ場所、同じ時間」に再会を約束ね。 神奈川県・小川 哲雄(75)
《コメント》
今回花作に選んでくださいまして大変うれしく、ありがとうございます。入賞者の作品を読ませていただき、素晴らしいと思います。
応募は友人に勧められました。花見については楽しい事がいっぱいあります。何か書で残すことが出来ればと思いました。第4回ですが、今後も続けてください。次は優秀賞目指して勉強したいと思います。頑張ります。記念に喜連川温泉に出かけます。
「疲れたらいつでも帰っておいで」 上京目前、桜の咲く頃にこの言葉で送り出してくれた先生。もう先生に直接伝えることは出来ないけれど、私は今も東京で頑張ってます。 東京都・植田 麻理亜(30)