第1回 桜の手紙コンテスト結果発表
昨年秋から年末にかけて募集した「第1回 桜の手紙コンテスト」には、全国から1,000通を超える応募がございました。その中から審査を経て選ばれた39の作品を当ページにて発表いたします。
ほほえましいものから少ししんみりとする作品まで、39の作品に込められた「想い」を感じてみてはいかがでしょうか。
※発表時の個人情報は応募当時のものであり、氏名は敬称略となります
※個人情報については応募時の注意事項を了承したものとみなして掲載します
※受賞コメントは順次掲載いたします(文字数等の都合上、一部を抜粋して掲載している場合もございます)
最 優 秀 賞
父さん母さん、あの枝垂れ桜覚えていますか。車窓から身を乗り出してみていたらいつのまにか寄り添って寝ていましたね。一対の雛人形のように。最後の桜の思い出です。
茨城県・新井 佑子(77)
≪受賞コメント≫
このたびは思いがけない賞をいただきありがとうございました。喜びで胸が一杯になりました。父と母は脳梗塞で長い間リハビリをしていました。あの日はふたりとも元気がないので励まそうと水戸城跡のお堀の桜を見に行きました。車の中ではうれしそうでしたが、いつのまにかふたりは寄り添ってねむってしまいました。その寝顔がとてもかわいらしく、私には雛人形のように見えました。悲しいけれどなつかしい最後の桜の思い出です。
優 秀 賞
初デートで大遅刻。当然怒られると思っていたのに、「私も今来たばかり」と君は言う。それ絶対ウソだったよね。だって、帽子の上には桜の花びらが降り積もっていたもの。
新潟県・中静 憲夫(73)
≪受賞コメント≫
応募の動機は「公募ガイド」10月号の表紙裏にあった美しい桜花の写真と“桜の手紙”というロマンチックなネーミングに心引かれて応募いたした次第です。私の住む新潟県長岡市にも悠久山公園という桜の名所があります。そこは私たち夫婦にとって忘れられない大切な場所。今回、もう半世紀前になりますが、妻との初デートの情景を思い出し手紙にしてみました。金婚の記念に、ぜひさくら市の桜を見に行きたいものです。
さくら市氏家観光協会長賞
あなたと出かけた葛折りの桜並木。桜の競演に酔いしれてしまいました。長い年月、桜はたがいに風雪にたえていたわりあってきたんですね。私たち夫婦のように思えます。
東京都・野村 ひとみ(73)
≪受賞コメント≫
自宅の前のグラウンドの桜も3月29日に満開となりました。コロナ禍の自然の活力には感心させられます。夫婦で元気をもらっています。またコンテストの機会がありましたら参加したいと思います。
もしも少しだけ戻れるのなら、幼かったあなたをたくさん抱きしめてくしゃくしゃにしちゃう。次の桜が咲く頃は、卒業証書なんか持って私がくしゃくしゃにされるから。
東京都・住友 貴子(34)
≪受賞コメント≫
息子はあと数日で小学校を卒業します。オリンピックのあった年に、修学旅行も運動会も全部なくなってしまい、6年生=卒業というイメージが持てないでいます。それでも私は泣かされてしまうのでしょうか。東京は桜がキレイに咲いています。冷たい人だと言われないよう、卒業式ではうんと泣いてやります。この賞のこと、卒業式の時も、これからの桜の季節も思い出すと思います。コロナが落ちついてきたら、遊びにいきたいと思います。
さくら市 氏家郵便局長賞
新学期、宿題の用紙を忘れて絶望の私に「やるよ」
机にさっと紙を滑らせて立たされた君は、窓越しの桜に座っているみたいで。
今も10才の桜色の君が見えます。
埼玉県・徳永 洋子(61)
≪受賞コメント≫
満開の桜を見るといつも少し切なくなる気持ちを書きました。来年はコロナを乗り越えて家族友人たちと桜見物ができますように祈っています。
季節がいくら巡っても、どれ程歳月が流れても、私にとってあなたはあなたのままです。今はもう無い駅前の桜。でも私の心には感謝の花弁が降り積もっていきます。
栃木県・田村 悠(36)
冷たい心を引きずって思い詰めていたあの時、私に前に進む勇気をくれたのは、丘に立つ桜の古木と、花びらを浴びながらぎゅっと手を握ってくれた幼い息子。ありがとう。
長崎県・山口 葉子(63)
≪受賞コメント≫
作品の中の「桜の古木」とは、原爆で何も無くなった丘の上に建てられた「乳児院」の庭に植えられた木です。戦後の子どもたちの成長を見守り、現在は時を経て「乳児院」の跡地に建った「ケアハウス」の入口で、春になると健気に美しい桜の花を咲かせています。若い頃、私はこの気に励まされたような気持になった体験があり、その事を思って作品にいたしました。人は無垢で清らかなものに出逢った時、頑なな心が、つい無防備になってしまうのではないでしょうか。何も言わない樹木に、安らぎや勇気を感じるのはあくまでも人の想いによるものかもしれません。それでも私はその古木に思議を感じ、息子共々一緒に頑張ってきたという気さえしているのです。
花作(かさく)
乳母車の中で、青空からふってくる花びらを小さな目でまぶしそうに見ていたね。そんなあなたがまもなく母になる。桜の道を家族で歩むしあわせを紡いでいけますように。 青森県・和井田 勢津(69)
≪受賞コメント≫
「桜の手紙」――78文字で思いを表現するというすてきな企画に参加できとてもよかったです。いつかさくら市を訪れてみたいと思っています。
桜の咲くころ受験を反対され、貧乏は父さんと母さんのせいと言ってしまった。あのときの母さんの悲しそうな顔が今も消えない。すぐに謝ればよかった。バカだなあ俺は。 大阪府・古垣内 求(81)
≪受賞コメント≫
拙文を選んで頂き感謝しております。引き続き応募するつもりですので今後ともよろしくお願い致します。
お丸山で散りたての花びらまみれになってはしゃいでいたポチ。鼻の頭に花びらを付けて大笑いさせてくれたね。今は空の上から見てるの? 風になってまた会いに来て下さい。 栃木県・新江 隆夫(–)
≪受賞コメント≫
愛犬を亡くしたつたない作品ですが、取り上げて活字にして頂いたら自分の物とは思えない立派な作品に見えて来ました。
友よ、覚えているか? 「疲れたら帰っておいで。花咲く頃に」――そんな立札を立てた卒業記念樹の桜。廃校になってしまったけれど、今年も母校の桜は見事に咲いたよ。 千葉県・渡会 克男(70)
≪受賞コメント≫
コロナ禍でウツになりそうな日々に、一足早く花明かりに照らされたような明るい気分になれました。いつまでも平仮名の「さくら」のようにやさしい町であらんことをお祈り申し上げます。
散歩中に、妻が突然、桜吹雪の中へ突入して、手をあげて溺れてしまう可愛いしぐさを見せてくれました。古希を過ぎた妻の無邪気な一面を見て、思わず嬉しくなりました。 神奈川県・北村 純一(75)
≪受賞コメント≫
「桜の花」は、観る者に魔法をかけてしまうのか、「笑顔にさせる」「子どもになれる」からです。桜吹雪に手を上げて溺れてしまうような姿を見せ合うのも魔法にかかってしまったからでしょうか。
満開の桜の中、まだ幼さの残るあなたと歩いた日、私は世界で一番幸せでした。あなたは桜の様に散ってしまったけれど、あなたがいてくれて私は世界で一番幸せでした。 千葉県・若木 陽子(52)
≪受賞コメント≫
亡くなった息子にあてて書いた手紙がこのような形になったことがとてもとてもうれしいです。コロナがなければ息子の写真と共にすぐにでも、さくら市の桜をみに行きたいところです。またひとつ大切な場所ができました。
旅立ちの朝、母と島影が霞んでしまう。初めて感じた孤独と不安、あの日から35年。18の君に伝えたい。「大丈夫だよ。」今も君は、沢山の愛に支えられています。 神奈川県・大島 定光(53)
≪受賞コメント≫
今年。大学を受験した息子と、自分が高校を卒業した時の話をする中で自分の中に閉じ込めていたその時の感情を思い出したことでこの手紙を書くことができました。人の一生の中で辛い事はたくさん巡ってくると思いますが、振り返れた時に次の一歩の活力になると信じたいと思います。今回のご縁でさくら市の桜を家族と見に行きたいと夢が増えました。
あの春、高校の卒業メッセージを書くのに随分と時間がかかると思ったら、わたしの知らないラブソングの歌詞をもじってかいていたんだね。今から答えても遅いですか? 千葉県・大石 萌世(23)
車の窓から溢れ咲く桜を観たわね 「きれいだね」と呟く横顔は菩薩のようだった 見納めの桜だと気づいていたのね 母さん 桜のように潔く散っていったあなたを誇りに思います 栃木県・中村 実千代(65)
≪受賞コメント≫
母がこの世を去る前年の春、老人介護施設に入所していた母を近くの姉の家まで連れて行くことになりました。身動きのままならない母をタクシーに乗せ走っていると、思いがけなく満開の桜並木が現れ、タクシーの行く手は桜吹雪でトキ色に染められました。後部座席に横臥していた母に「お母さん、ほら、桜がきれいでしょう」と声を掛けると、窓外を眺める母の瞳が潤んできました。じっと見つめる母の心の奥底は、どんなに切なかったことでしょう。母のように、桜は美しく儚く淋しい花です。毎年桜の季節になると、あの時の母の神々しい横顔が浮かび涙がこぼれます。
「大好き!」花見の席で告白されてぼくはうれしかった。だけど、素直になれなかったね。今でもキミの面影をずっと浮かべてともに季節を渡っている。キミは今幸せかな? 奈良県・小野 大輔(47)
≪受賞コメント≫
遠い恋の思い出を作品にしました。「キミは今幸せかな?」離れて生きる彼女へのメッセージです。私自身おかげさまで結婚はしましたが、追憶の彼方への遥かな思いです。温泉が大好きなわたくし、コロナ明けさくら市におじゃまするかもしれません。喜連川温泉っていうんですね。
お父さん、私に素敵な名前をつけてくれてありがとう。私が産まれた日、病院の窓一面に広がる桜を見て私の名前を決めたんだよね。この名前は私にとって一生の宝物だよ。 神奈川県・菊地 桜(22)
≪受賞コメント≫
「桜の手紙コンテスト」というコンテストタイトルをインターネットで見かけた時、私の名前を利用する他ないと思い、すぐに手紙の内容を考えました。誰に送りたいのか? この気持ちを伝えたいのか? 長考に至るまでもなく、父に対しての気持ちが自分の心の中を満たし、作品が形になるまでそう時間はかかりませんでした。普段からきっと心の中でいつか伝えたいと思っていた気持ちを、こういった形で発信することができてとても嬉しいです。本当に素敵な機会をありがとうございます。……ただ、未だにはずかしくて父に受賞作品を見せることができていません。(笑)もうすこしタイミングをうかがって、伝えたいと思います。
子どものない私たちにとって、君は大切な家族だった。何の芸もせず甘えるだけだったね。それが一番よかった。桜の頃逝ってしまった君を忘れないよ。 山口県・田中 克正(70)
≪受賞コメント≫
家族の一員だった愛犬「ぽち」を思い出して書きました。「ぽち」について書くチャンスを与えていただきうれしく思っています。久しぶりにアルバムを開き、夫婦でなつかしみました。「ぽち」の毎日のしぐさについて話題にする17年弱でした。なお私と妻の趣味は、登山・旅行・日本酒です。コロナ以前は全国を歩きまわり、関東にも度々行きました。コロナが落ちつけば、さくら市を訪ねてみたいと思っています。
歩行困難になった夫に満開の桜を見せたくて車椅子で出かけた。冗談交じりに「誰のお蔭?」と問うと「車椅子のお蔭」だって! あなたを愛する私の気持ちを解ってよ! 兵庫県・原 八千子(84)
≪受賞コメント≫
賞に応募した時の様子が、夫との最後の外出になりました。仏前に、(副賞の)おうどんや絵葉書を供え、遺影に向かって、また、めぐってきた桜の季節の思い出話をしております。今は、涙の語りかけですが、これからは、私の余生を力づけてくれる宝物となるよう大切にいたします。
父さん、僕はケチで小心者のあなたが嫌いでした。満開宣言が出た日、緊急入院したあなたに何も言えなかったので、今こそ伝えます。「僕は矢張りあなたに似ています」 東京都・峯田 泰彦(67)
≪受賞コメント≫
(賞品と共に同封されていた)桜マップを拝見し、あまりの見事さに感動しました。「さくら市」と言う名に相応しい観光資源だと思います。機会を得て必ず訪れたいと思います。今日は嬉しい日となりました。
もうこれでさようならのあの時、あのバス停。乗り込むあなたのお尻にはベンチの桜の花びらが何枚も、つい笑っちゃったの、なんだかあなたらしくて。ごめんなさい。 東京都・室 彩恵(47)
北海道の桜は5月。だから僕の記憶は子どもの日。僕は母さんのご飯が大好きだった。小さい頃は言えたのに、途中から言えなくなってごめん。恥ずかしかっただけなんだ。 北海道・川下 英哲(35)
≪受賞コメント≫
あまり上手な手紙とはいえないと個人的には思っていたので今でも賞に選んで頂いたことに驚きをかくせません。それでも、心を込めて書かせて頂いたちょっぴり恥ずかしい手紙です。(笑) ネット社会が進みゆく時代だからこそ“手紙”という文化は後世に残したいと思ってしまう自分がいます。手紙っていいですよね。誰が書いても何を書いても心に残ります。
新一年生の説明会の日、急に降り出した雪が満開の桜を真っ白に染め変えた。君はかき集めて来た雪を見せて嬉しそうに笑っていたね。30分間の奇跡、みんな覚えてる? 東京都・谷川 瑞代(57)
≪受賞コメント≫
私の「桜」との大切な思い出を皆さんに伝える事が出来て、とても嬉しいです。東京で生まれ育ち20才で引越してしまった私には「故郷」「幼馴染み」と呼べる「場所」「友人」が居りません。けれどあの日、中学からバラバラになってしまう私達に「桜」から「素敵な時間」をプレゼントして貰いました。「桜」へ、「友達」へ素敵な思い出をありがとう。その想いを伝えたくて「手紙」を書きました。
「きれいだね」と喜ぶ義母を助手席に乗せ、桜並木をゆっくりと進む。亡き母に果たせなかった親孝行という言葉を胸に刻みながら。来年も桜を一緒にみられますように。 栃木県・中島 とし子(57)
≪受賞コメント≫
昨年6月。義母は脳梗塞を患い、半身不随となってしまい、特養老人ホームに入所しました。この選択肢で良かったのだろうか? 様々な思いを抱えていた頃、このコンテストの事を知り応募しました。このような企画に応募したのは初めてでした。私自身、生まれ育ったさくら市の募集だったので出品に至ったのかも知れません。今年は手紙の思いが届かないかも知れません。「今年に限った話じゃない」と息子に言われました。親孝行できる機会がまだまだあると信じたいです。
さくら吹雪の中、ベンチに腰かけたあなたは深いまなざしの奥で最後のさくらと、心に刻み込んでいるように見えました。私は胸が熱くなりました。一人花見はつらいです。 大阪府・角谷 まさ子(75)
≪受賞コメント≫
栃木県は関西人にとってなじみがなくさくら市の名前を初めて知り桜の季節にはぜひ一度訪ねてみたいと思いました。氏家の桜まつりに心ひかれました。
僕は覚えています。あの時の桜を。散ってしまった桜の花が、川の水面に重なっていた。風が吹いて手をつないだ。「帰ろうか」「うん」君が僕の隣にいた時代のことを。 東京都・鈴木 秀一(60)
≪受賞コメント≫
「桜の手紙コンテスト」というコンテストがあるのを知り、ネーミングが頭から離れず、毎日桜の開花を思い浮かべていたら、若かりし頃の思い出が…早速文字にして応募しました。なつかしい、忘れていた思い出を思い出させてくれた事にも感謝です。「桜の手紙」というワードはとても魅力的です。日本人が好きなものベスト3はサクラ、富士山、マグロだと勝手に思っています。嫌いだという人に会ったことがありません。次も、次も、いつまでも続きますように。
桜が大好きだった母さん。母さんが亡くなって十年以上。話したいことがどんどん増えていきます。とりあえず、私の孫が生まれたことを伝えたい。頬は桜色かわいいよ。 千葉県・野田 千鶴子(68)
≪受賞コメント≫
私は栃木県の佐野市に祖父母の家があったので栃木県には別の親しみがあります。「さくら市」美しい名前ですね。この企画を知った時は、亡くなった母が桜が大好きだったので、すぐに母とのあれこれを思い出しました。私に孫が出来たことを母が知ったなら、どんなにか喜んでくれたことでしょう。でも、人はそうやって新しい生命を継いでいくものなんでしょうね。
また、風の電話に来てしまいました。大声で泣きたくて、貴方の声を聴きたくて。大震災から9年、電話は撤去されても貴方の植えた桜が春を告げに来てくれましたよ。 栃木県・鈴木 昭一(65)
≪受賞コメント≫
千点を超える応募や全国に及ぶ受賞者を見て驚いています。桜に寄せる人々の思いを知り、日本人にとって桜は特別な花だと再認識させられました。桜を愛する人々の多くがオーナーとなり、被災地の人々の心に寄り添う気持ちを示すことで、縁や繋がりを保ちたいと思います。
先生が卒業アルバムの寄せ書きのページに書いてくれた言葉。「大きく花を咲かせて」私にだってできるはずと思わせてくれた、今も私の心の支えです。 神奈川県・上原 美希(34)
≪受賞コメント≫
私は青森の出身なので実際の卒業式の頃には桜はまだ咲いていないのですが、高校卒業時の思い出深いエピソードが、今回のコンテストの趣旨にもマッチすると思い書かせていただきました。
「卒業おめでとう、春から俺の後輩やな」。せっかく言ってくれたのに、照れくさくて「気持ち悪い!」ってはぐらかしてごめん。先生と過ごした中学時代は今も宝物だよ。 神奈川県・今村 優里(28)
高校卒業の春。同級生の男の子からの手紙。「貴女には、他の人に対するものとは違う特別な感情を抱いていました」とあった。なんで返信しなかったんだよ、十八歳の私。 富山県・麻谷 久美子(52)
≪受賞コメント≫
応募の動機はカッコ良くいえば、何十年たっても心のすみでずっと忘れられずにいた思いをカタチにできるチャンスとして貴協会の募集がまるで運命のように、私の目に入ってきたからです。おかげで三十数年ぶりに思い出にひと区切りをつけることができました。いつか、さくら市を訪れたいと思います。
嫁ぐ娘へ。君が二歳の春。暮れゆく桜並木の下、父子で降りつもった花びらを無心で集めたね。今度は『あいつ』と幸せの花びらをたくさん集めるんだよ。幸せになれよ。 栃木県・高野 富男(55)
≪受賞コメント≫
娘二人、わかっていたけれど上の娘が嫁ぐ日が来てしまった。今までは「娘のためなら何でもできる、自分が守ってあげないと」と思っていたけれど、娘には守ってもらえる伴侶ができた、幸せを共に築く家族ができた。これはうれしいことだ。でも、父の心は桜の花びらのように複雑に揺れながら、薄墨色の夕暮れに溶けてゆく・・・。そんな思いを書きました。ありがとうございました。
美しい先生だった。習った英文を10回書いて行かないと、赤いスタンプを額に押された。私は叱られたくてわざと忘れた。好きでした。桜なんかどうでもよかった。 大分県・油布 晃(66)
≪受賞コメント≫
中学一年生の時の初めて英語を習った時の躍動感を書きました。「桜なんかどうでもよかった」と表現することで却って桜が浮き出て来るのかなとも思います。
桜の木の下で あなたは言ってくれたね 一緒に仲良く おばあちゃん、おじいちゃんになろう 私はとっても嬉しくて 泣いて何も言えなかった 同じ気持ちだよ これからもよろしくね 群馬県・須郷 夢摘(26)
≪受賞コメント≫
私は桜が好きです。毎年、春になると通学路には桜が咲き、そこを車で通るのが楽しみでした。今年は新型コロナの影響でテレワークとなり、桜は見れませんでした。その為、このコンテストを知り、ぜひ応募したいと思いました。また、桜の思い出が増えました。
桜吹雪。目を閉じ右手でぎゅっと花びらを一枚掴まえたら願い事が叶うんだって。そう君が教えてくれた。やばい! 願いかなったよ。今年も手をつなぎ桜咲く道君と歩く。 愛知県・富崎 美心(16)
桜の花を見かけると君の思い出が微笑んでくる、君が好きだった曲を聴くと君との思い出が話しかけてくる。いつになったら思い出がイタズラしなくなるのでしょうか。 広島県・金光 賢次(53)
≪受賞コメント≫
「桜の手紙」という応募タイトルを目にした瞬間、大学時代に彼女と別れた時の花びらが舞っていた光景と桜の香りがよみがえりました。コロナが終息しましたら、さくら市を訪れたいと思います。
律ちゃん、あなたが逝った季節がまたやってきます。ラインの順番が後ろになるのを寂しく思いながら、時々開いて思い出してます。焼いてくれたパンおいしかったですよ。 沖縄県・豊見山 博子(61)
≪受賞コメント≫
律ちゃんはとても優しくいつも笑顔で園児からも保護者からも、もちろん同僚からも愛される幼稚園の先生でした。久しぶりに会ったのは癌病棟。なんと私の隣のベッドに入院してきました。私に「ガン友だね」そう笑いながら元気になっていっしょに働く日を夢みていました。退院してからもパン教室に通いはじめたと美味しいパンを届けてくれました。律ちゃんから「会いたい」と約束した日も私にインフルエンザの症状がでてキャンセルに。結果は陰性だったのですがあの時体調がよければと悔やまれます。家族旅行でいい思い出ができたと喜んでいたのに…。三月突然の訃報でした。最後のお別れをした日のニュースで見た満開の桜が、よけいに悲しみを深くしましたが、今では律ちゃんの人生を祝福していたのかなあと思えます。
肺炎で欠席した卒業式。親父の粥はひどかった。葱はつながり、卵の殻が入る。でもそれを見て笑った。元気になった。いま思えばあの粥は心も「すくう」ものだった。 東京都・小松﨑 潤(36)
≪受賞コメント≫
数多くの作品の中から選んで頂けたことを大変嬉しく思います。